| 奈久留 | エリオル、ほら。 ビデオ借りてきてあげたわよ。 |
| エリオル | ルビー・ムーン、すまなかったな。 |
| スッピー | また、ルビーにヘンなビデオ借りさせたんですか? |
| エリオル | スピネル、誰に向かってそんな口きいてるんだ?! 失敬だぞ! これは、ハリー・ポッターの映画だ。 |
| スッピー | ハリー・ポッターですか? また、どうしてそんなものを? エリオルは、ハリー・ポッターと言われるのがいやだと言って、 あれほど嫌ってたじゃないですか。 |
| 奈久留 | そうそう、以前も、「あんなガキの三流魔法使いと 一緒にされて不愉快だ。」 って言ってたもんね。 |
| エリオル | ああ、そのとおりだ。 でも、人生の中では、自分が望んでいないことを しなければならない局面というものあるんだ。 |
| 奈久留 | ふふ、んなこと言っちゃって、わたし、 ホントの理由知ってるもんね。 うちのガッコきて、はりぽた のマネすれば、女子高生に 囲まれるからでしょ。 |
| スッピー | 本当ですか? |
| 奈久留 | うん、何度も見たよ。 みんなバカっぽく、はしゃいで、エリオルの 頬をなでたりして、エリオルったら、鼻の下伸ばしちゃってさぁ... |
| スッピー | それのどこが はりぽた嫌いですか?! 最低ですね、エリオル。 |
| エリオル | 今日はもう寝る。 明日は早いからな。 |
| 奈久留 | え? どうしたの? |
| エリオル | 李くんがまた挑戦してきたんだ。 まだ、わたしがさくらさんを狙っていると思っているらしい。 |
| 奈久留 | ふふ、男の戦いね。 |
| エリオル | で、明日の朝7時に、PK合戦で 勝負することになったんだ。 |
| スッピー | どうしてサッカーなんですか? |
| エリオル | さあな。 サッカーを選んだのは彼だ。 |
| 奈久留 | じゃ、早朝に対決することにしたのも、あの子なの? |
| エリオル | いや。 時間を選んだのはわたしだ。 |
| スッピー | どうして早朝なんです? |
| エリオル | わたしの勝ちパターンだからだ。 もう既に、どうやってボールを蹴るかも 考えている。 まっすぐではない。 回り込んで、左側からシュートする。 |
| 奈久留 | それがエリオルの勝ちパターンなの? |
| エリオル | ああ、明日の朝は、チアリーディング部が グラウンドの反対側で早朝練習することになっている。 だから、左側からシュートしないといけないんだ。 |
| スッピー | ん? 言ってることがわかりませんが。 どういうことですか? |
| エリオル | 左側からシュートすることには、確固たる理由がある。 彼がキーパーをしていたとしよう。 で、わたしがボールを蹴る瞬間、 わたしの肩の向こうに練習しているさくらさん姿が、 チラリと彼の目に入ったとしたら? くっくっく... |
| スッピー | あ、それはまずいですね。 |
| 奈久留 | てゆーか、エリオル、たまには正々堂々と勝負してあげなさいよ。 |
| さくら | エリオル君、クロウさんの生まれ変わりだったんだ。 |
| 知世 | 驚きましたわ。 |
| エリオル | 隠していてすみません。 |
| 知世 | でも、柊沢くんがクロウさんの生まれ変わりで いらっしゃるのでしたら、クロウさんも やはりどなたかの生まれ変わりなんでしょうか? |
| 小狼 | そうだな、その可能性はあるな。 やっぱりすごい力の持ち主で... |
| さくら | ほえええ〜 誰だろう? |
| 小狼 | 孔明とか... |
| 知世 | 聖徳太子とか。 |
| さくら | ノストラダムスさんとか? |
| エリオル | さぁ、どうでしょう。 (笑) |
| スッピー | 道鏡(1) じゃないんですか? |
| 奈久留 | ラスプーチン(1) かもね。 |
| エリオル | おまえ達は!! |
| S+S+T | ??? |
| 歌帆 | うふふ、そんなの知らないわよね。 どういうことかと言うとね... |
| E+N+S | 子供にそういうことを教えるな! |
| エリオル | はは... くっくっく。 |
| スッピー | どうしたんです、エリオル? 突然 笑い出したりして。 |
| エリオル | すまない、スピネル。 ちょっとジョークを思いついてな。 |
| 奈久留 | なになに? 話してみて。 |
| エリオル | ちょっとしたクイズ形式だ。
佐々木さんを職員室に呼んでくるようにと寺田先生に頼まれた場合、
どういうふうに佐々木さんに教えるか? 「寺田先生から、よいお知らせがあるそうですよ。」 と言ってあげる。 |
| 奈久留 | うんうん... |
| エリオル | では、観月先生が、李くんを職員室に呼んでいる場合、
どんなふうに李くんに教えてあげるか? 「逃げろ!」 |
| スッピー | あは... おっとっと。 |
| 奈久留 | あやや... |
| エリオル | ん? どうした、ルビーにスピネル? 面白くなかったか? |
| 奈久留 | あのね、エリオル... |
| 歌帆 | 面白いジョークね。 |
| エリオル | げ、歌帆! いつからそこにいた? |
| 歌帆 | まるで、わたしが李小狼くんを狙っているような言い方ね。 |
| 奈久留 | いつもさくらちゃんと一緒にいる かわいい男の子のことね。 |
| 歌帆 | まあ、彼は確かにかわいいけど... |
| エリオル | 李くんに対して、別に意図はないと? |
| 歌帆 | そ... そんなのあったり前じゃない! [目をそらす] |
| スッピー | なら、こっちを見てものを言ってくださいよ。 |
| 歌帆 | ふん。 バカ言わないで。 わたしは、いつも、エリオルのことだけを
思っているのよ。 エリオルはどうなの? 前のクロウ・リードの時みたいに... 二股 とか 三つ股 とか 四つ股 とか かけてんじゃないでしょうね? |
| エリオル | なに言ってるんだ、歌帆。 わたしがいつも考えているのは、 歌帆のことだけに決まってるじゃないか。 |
| 奈久留 | あ〜、やだやだ。 この二人、ホントにバカップルね。 |
| スッピー | いえ、むしろ、お互いに手の内を探ろうとしてるように見えるのですが。 |
| 奈久留 | エリオル、最近、うちのガッコによく来てるよね。 見つけるたびに、女の子に囲まれちゃってさ。 |
| エリオル | 最近 上映されたあのいまいましい映画の第三作のせいだ。 |
| スッピー | ハリー・ポッターのことですか? |
| エリオル | 女子高生ときたら、私をあんな三流のガキの魔法使い呼ばわりするから、 もうたくさんだな。 |
| 奈久留 | なら、うちのガッコに来なきゃいいのに。 |
| スッピー | あんなこと言ってるけど、女の子に囲まれて喜んでるんですよ。 |
| 奈久留 | そうそう。 |
| エリオル | そろそろ、イメージチェンジでもした方がいいかな。 髪にウェーブを入れて、白いジャケットでも着たらどんな感じかな? |
| 奈久留 | ちょっとマジ? |
| スッピー | はぁ、今度は奥様集団を狙っているようですね。 |
| 奈久留 | そうなの? エリオルがヨン様というのは、かなり無理があると思うけど。 |
| : | |
| スッピー | おや? オチがついて、この話ももう終わったんじゃないんですか? |
| 奈久留 | エリオルったら、あたしが言ったことが気にくわないんで、 終わらせてくれないんだよ。 |
| エリオル | ペ・ヨンジュンになりきることに無理があるというのが解せない。 見てみろ。 私は眼鏡をかけてるし、優しいし、笑顔もステキだ。 |
| 奈久留 | 自分でそういうこと言うところがウザい。 |
| スッピー | わかりましたよ。 じゃ、エリオルのどこが、韓流 (はんりゅう) スターと違うのか、示すしかないですね。 ルビー、ぺ・ヨンジュンの台詞といえば何を思い出しますか? |
| 奈久留 | やっぱりあの台詞よね。 「本当に好きな時は、理由なんてないんですよ。」 |
| エリオル | ルビー・ムーン、お前、冬のソナタを観てたのか... |
| スッピー | それでは、エリオルの台詞といえば? |
| 奈久留 | 「くっくっく、さすがですね。 それでは、次はどうなさいますか、 さくらさん?」 [陰険な感じで] やっぱりエリオルって変態っぽくない? |
| さくら | 先週、算数のテストがあったんだけど、あたし30点しかとれなかったんです。 ホントにはずかしくって、みっともなくって... クスン... クスン... |
| エリオル | ま、落ち着いて。 |
| さくら | ごめんなさい。 それで、気がついたらテストを庭に埋めていたんです。 お父さんとお兄ちゃんに見つからないように。 |
| エリオル | おっと、みなさん。 わたしが何をしているか疑問に思っているでしょう。 わたしは、友枝教会の司祭として、懺悔室でカードキャプターさくらの 登場人物の懺悔を聞いています。 懺悔をする者と司祭の間には薄い壁が あり、彼らには司祭の正体がわかりません。 |
| 奈久留 | はい、はい、説明ありがとう。 でも、エリオルにこんな聖なる仕事を する資格があるのか非常に疑問だけど。 |
| さくら | 神父さん? あたしの話 聞いていますか? |
| エリオル | もちろんですとも。 自分のことを責めてはいけません。 何人にとっても、自分の弱点を見せるのはつらいことです。 あなたがやった隠ぺい工作は人間の本質によるものです。 神はあなたの 苦しみを理解し、罪を許してくれることでしょう。 |
| さくら | 本当に許してくれるかなあ? |
| エリオル | 許してくれますよ。 それから、あなたがテストを隠そうとした庭で 何かを見つけたことも神はご存知ですよ。 |
| さくら | え... 古いコイン... のことですか。 |
| エリオル | そうです。 それはお兄様のものですね。 旧友からもらったものでしょう。 お兄様は探していらっしゃいます。 お兄様にお返しになれば、神からの ご加護があるでしょう。 |
| さくら | はい、そうします。 ありがとうございました。 |
| さくらは微笑んで、懺悔室を出て行く。 次に来たのは柳沢奈緒子だった。 | |
| 奈緒子 | 神父さん、わたしのせいで友達がひどいケガをしたんです。 |
| エリオル | さあ、祈りなさい。 |
| 奈緒子 | 友達の山崎くんが中国の怪奇現象について話していたんです。 でも、 わたしも怪奇現象が好きだから、それがウソだってすぐにわかって、 それを千春ちゃんに告げ口したんです。 そうしたら、千春ちゃんは 山崎くんをぶん殴って、交通量が多い道路に置きざりにしたんです。 |
| エリオル | それは穏やかではありませんね。 |
| スッピー | [ぼそりと] ...と言うより、その千春って子がここに来るべきでは。 |
| 奈緒子 | 告げ口なんてしなきゃよかった。 |
| エリオル | あなたは悪いことなんてやってません。 あなたのせいで不幸になった人は 誰もいません。 神は、最初からあなたに罪はないとおっしゃっています。 |
| 奈緒子 | でも、山崎君はケガをして... |
| エリオル | そのお友達は分別のある方で、あなたを恨んだりはしません。 彼は、あなたが当然のことをしたと理解しています。 |
| 奈緒子 | でも... |
| エリオル | あなたは自信を失いかけているようですね。 その眼鏡は物を鮮明に見るためにかけているのでしょうが、眼鏡は 時として視界を曇らせ、大事なことが見えなくなることもあります。 |
| 奈緒子 | どうして、わたしが眼鏡をかけていることが...? |
| エリオル | と、神がわたしに告げています。 さあ、顔を上げて眼鏡をはずしてください。 そう、わたしを見るあなたのその瞳は美しい。 |
| 奈久留 | エリオル、司祭のクセに口説いてどうすんのよ?! |
| エリオル | いや、気にすることは何もありません。 笑って、お行きなさい。 |
| 奈緒子 | わかりました。 神父さん。 |
| 奈緒子は立ち上がって会釈をすると、懺悔室から出て行った。 | |
| 奈久留 | で、ずっと訊きたかったんだけどね、エリオル。 どうして、他人の 懺悔なんて聞こうと思ったわけ? |
| エリオル | 困っている人の助けになりたい。 それだけのことだ。 |
| 奈久留 | そんなこと信じると思う? エリオルみたいな邪悪な人が、わざわざ友枝教会の 本当の司祭に魔力を使ってまで、懺悔室に入ることが理解できないのよね。 |
| スッピー | 何かウラがあるでしょ? |
| エリオル | 懺悔した者たちが、罪の意識からとかれた瞬間、安堵の息をつく姿を 見ただろ? 彼らの笑みを見て、わたしはこの職を誇りに感じたよ。 |
| スッピー | さくらさんに、奈緒子さんのような... |
| 奈久留 | それから今日、寺田先生も懺悔室に来たね。 教え子との禁じられた恋愛に苦悩する教師。 |
| エリオル | そうそう。 あれは使えるな。 クックック... |
| 奈久留 | 使えるってどうゆー意味? |
| スッピー | やっぱり、そうやって人の弱点を探ってたんですね。 |
| 奈久留 | ったく... エリオルってホントに最低。 |